会長ご挨拶

この度、第 19 回日本医療マネジメント学会愛知県支部学術集会を担当させていただくことになりました。学会開催にあたり、多くの方々にご支援を賜りましたことを深く感謝申し上げます。

さて、医療の質の向上が叫ばれて久しいですが、私は元消化器外科医であり、医療の質の象徴と言えば「神の手」であったり「ブラックジャック」であったりするような思考回路を脱却するのに何年もかかりました。病院における日常診療の質を向上させるにあたっては個々の診療技術を磨くこととは別にやるべきことが色々あるようです。しかし、こうしたことについての医療者の関心や理解の度合いには大きなばらつきがあり、医療者間、職種間での温度差はチーム医療に大きな影響を及ぼします。院内のルールなどをしっかりと統一・管理し、全員で共有することでインシデントなどを減らし、チーム全体としての医療の質を高める仕組みとして、品質マネジメントシステム (QMS)があります。

QMSは「品質を向上させ、顧客満足という目標を達成するためのシステム」であり、われわれの業界に特化した概念ではありません。しかし、近年はさまざまな場面でQMS活動に相当する取り組みを奨励・推進している病院がいくつもあります。個人の力量に頼るばかりではなく、病院が一体となって医療の質を上げる努力をしてそれが実を結べば、医療者はさらに自信と誇りをもって患者さんをお迎えし、日々の診療に従事することができると思います。本学術集会がそのような取り組みの工夫や成果を共有する機会となり、県内の病院のさらなるレベルアップにつながれば幸いです。

第19回日本医療マネジメント学会愛知県支部学術集会
独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター 病院長 小寺泰弘